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April 02, 2009

ウォッチメン

Watchmen

  アメコミの世界ではあまりにも有名な記念碑的作品「ウォッチメン」の
 映画化、である。原作に詰め込まれた情報量とテクニックを駆使した
 ストーリーテリングの複雑さ、そして本来SF小説に贈られるヒューゴー賞
 をコミックで唯一受賞したことからもわかる、その偉大さゆえに映画化は
 とてつもないチャレンジだったはずだ。それをここまで原作に、原作の
 ビジュアルに忠実に映画化したザック・スナイダーの手腕には脱帽する
 ばかりだ。それだけでも評価してあげたいのだが。
  今回のウォッチメンの映画化に関してはあまりに原作に忠実に映画化する
 ことにこだわったあまり、原作を知らない人間にはわかりにくすぎる作品に
 なっている気がする。私はずいぶんまえに邦訳されたものを読んでいたし、
 今回映画を観るに当たってもう一度じっくり読み返していたので、細かい
 描写もそれなりに噛み砕いて消化することが出来たが、全く予備知識無しで
 観るのはつらい映画なんじゃないかな。もう少し再構築を図っても良かった
 ように思う。
  コミックを読んだ人間として感想を言わせてもらうと、まず何よりも
 ロールシャッハの再現度が半端でないのが嬉しい。コスチュームや動きも
 もちろん、その声までがイメージ通りだったのはびっくりした。言わばこの
 作品の主役であり、私がもっとも好きなキャラクターである彼の活躍を見る
 ことができただけでも映画館に足を運んだ甲斐があったというものだ。
  ラストの「改変」は賛否両論だろう。物語としては確かに映画の方が力を
 持っていると認めざるを得ない。だが私は原作の方が好きかな。それぞれが
 それぞれの孤独を抱えたまま四散する原作の方が。抱きしめ合えたのは、
 コスチュームを再び受け入れることで疎外感と喪失感という孤独から抜け
 出せたダニエルと、事実を受け入れ母を許すことで自分の人生を取り戻す
 ことの出来たローリーだけというラストの方が。原作の方がきついジョーク
 だしね。
  原作を読んだ人、読んでから映画を観ようと思っている人には90点。
 予備知識無しでもこの手の映画が好きな人になら75点。どちらでもない人
 にはおすすめしない(苦笑)。原作を読んだ時の方がはるかに高揚感を覚えた
 ことだけは白状しておく。映画を観てる間もずっと脳内ではコミックの
 ページをめくってたしね。

 「ウォッチメンWATCHMEN
  監督 ザック・スナイダー
  キャスト ジャッキー・アール・ヘイリー ビリー・クラダップ
       マシュー・グード パトリック・ウィルソン
       マリン・アッカーマン ジェフリー・ディーン・モーガン 他

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