読了3冊@ファンタジー引き続き
「ファンタジー文学入門 」
ブライアン アトベリー 著 谷本誠剛/菱田 信彦 訳 大修館書店
「物語る力―英語圏のファンタジー文学:中世から現代まで」
シーラ イーゴフ 著 酒井邦秀/南部英子/森恵子/ツル田公江/西村醇子 訳
偕成社
「折れた魔剣」
ポール・アンダースン 著 関口幸男 訳 ハヤカワ文庫SF
一、二冊目はファンタジー論。一冊目はこれまで軽視されがち(蔑視とさえ
言ってもいいかも知れない)ファンタジー文学というジャンルを改めて真正面
から捉え直し、その真価を顕わにしようという試みだ。その意気は買うし、
なかなか鋭い視点を提供してくれている感じも確かにあるのだが、いかせん
日本ではファンタジーが下に見られているという感覚が希薄なので、今ひとつ
ぴんと来ない感じだ。まあ私自身が別に下に見られていようと軽視されようと
好きな人が書いて好きな人が楽しめばそれでいいジャンルだと思っている節が
あるので(笑)。二冊目はその時々の社会事情の変化とファンタジー文学作品を
結びつけて解説しようという本。ファンタジー論というよりはファンタジー
文学の歴史書と言った方がいいかもしれない。この本を参考にして、読みたい
と思う本をさらに追加することができたし、大著であることは間違いないの
だが、著者の思うファンタジーと私の思うファンタジーとが微妙にずれている
のが残念。この著者にとってはホラーやヒロイック・ファンタジーはその範疇
に入らないらしい。
三冊目はあの指輪物語と同じ年に発表されたという古典とも言える作品だ。
指輪物語が北欧神話やケルト神話などの要素を再構築して新たな世界と新たな
神話を作りだしたものだとすれば、この本は様々な神話のキャラクターと自前
の俳優達によって北欧神話を再演してみせたものだと言えるだろう。通底音と
して悲劇性が常に静かに流れ、すべてが崩れるように滅びに向かっていく。
まさしく北欧神話だと私は思う。古い著作であるし、悲劇的で暗いお話だし、
なかなか手をつけづらい作品なのだが、読み進めていくと止まらなくなる本
でもある。ムアコックのエルリックサーガに影響を与えているだろうことから
も必読か。
死後、スカフロクとヴァルガルドはヴァルハラに迎えられたのだろうか…。
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