« ひなたぼっこ | Main | 昨日の蟷螂 »

October 25, 2007

パンズ・ラビリンス

Plabyrinth

  「ヘルボーイ」が記憶に新しいギレルモ・デル・トロ監督の最新作は
 ハリウッドからの頼まれ仕事ではなく、作家性を発揮することのできる
 スペイン/メキシコ映画であり、同じく作家性が露わになっていると
 感じた「デビルズ・バックボーン」の姉妹編とも言える作品だった。
 「デビルズ─」が幽霊という要素を使い、ホラー映画の体裁を採っては
 いるが「戦争映画」だと感じたように、このパンズ・ラビリンスも
 ファンタジー映画という形で語られる戦争映画だ。いわゆるお伽話の
 ファンタジーと戦争という極限状態がかくも見事に並列列記されて
 ひとつの物語を形作ることが出来るのは、戦争が大人の─あるいは男の
 狂ったファンタジー=幻想に支えられた異世界だということを現して
 いるのだろうし、ファシズムとファシズムにとりつかれた人間が子供を
 喰らう怪物以上に魔物であることをも現しているのだろう。ラスト、
 魔法の王国へと旅だった少女にとっては彼方こそがリアリティのある
 生きるべき世界であり、狂気に満ちた戦争という現実の方が虚構で
 あったということか。
  だがそれはこの映画のいわゆるファンタジー部分が安易に作られて
 いるということではない。その部分がしっかりと作り込まれている
 からこそ、この映画とこの物語が生きてくるのだ。特にペイルマン
 の造形とキャラクターは秀逸。単体でホラー映画ができそうなくらい
 のいい出来だった。
  80点。映画冒頭の時間が逆転しているようなシーンから考えると
 すべてが死に瀕した少女が、その一瞬のうちに作り出した、救済の
 ためのファンタジーだったのかもしれない。

  「パンズ・ラビリンスPan's Labyrinth
   監督 ギレルモ・デル・トロ
   キャスト セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ
        イバナ・バケロ ダグ・ジョーンズ 他 

|

« ひなたぼっこ | Main | 昨日の蟷螂 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/39551/16872450

Listed below are links to weblogs that reference パンズ・ラビリンス:

« ひなたぼっこ | Main | 昨日の蟷螂 »